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脂漏性皮膚炎
皮脂の分泌の多い部分に発症する皮膚炎
脂漏性皮膚炎とは、皮脂腺(せん)の分泌の異常によって起こる皮膚炎。
この疾患の主な原因は、皮膚にある皮脂腺から分泌されている皮脂の過剰。皮脂が過剰に分泌された際に、皮膚に常在してるカビ(真菌)によって脂肪酸に分解される過程で、過酸化が生じて炎症が起こります。介在しているカビについては、皮膚、ことに皮脂腺の出口から毛穴にかけて住んでいるマラセチアという説もあります。スキンケア不足、睡眠不足、ストレス、ビタミンBの不足、ホルモンバランスの乱れも、原因となります。
乳児では、髪に覆われている頭部、まゆ毛の部分に黄色いかさぶたが付くのが特徴です。中年に多い大人では、頭部、まゆ毛のほかに、耳の後ろ、鼻のわき、わきの下、胸や背中の中央部、陰部などにも、皮膚炎が生じます。
これらの場所は脂漏部位といって、脂漏性皮膚炎のできやすいところです。頭部では、脂っぽいふけが多くなって、頭皮に紅斑(こうはん)がみられます。顔やほかの部位では、脂っぽい薄いかさぶたのようなものを伴った紅斑がみられ、皮膚がポロポロむけたりします。かゆみの程度は、ほとんどない人からひどい人までさまざまで、個人差があります。
乳児では、1〜2週間で治り、再発しません。この点が、アトピー性皮膚炎と異なります。大人の場合は、やや治りにくく、再発します。
脂漏性皮膚炎の検査と診断と治療
脂漏性皮膚炎の病変部を調べると、マラセチアというカビ(真菌)が見付かることが多く、その場合、抗真菌外用剤の軟こうを塗布すると、1~2週間で症状が軽快します。ただし、3~4カ月で再発することが多く、抗真菌外用剤の再塗布が必要になります。
また、抗真菌外用剤の使用でかえって悪化する例もあります。その場合には短期間、抗生物質の入った副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド)外用剤の軟こうを塗布します。皮膚の表面にはさまざまな微生物が住んでおり、それらが原因になっている場合もあるためです。いずれにせよ、現在では脂漏性皮膚炎の治療には、まず第一に抗真菌外用剤を使うのがよいとされています。
かさぶたが付いている場合には、初めに亜鉛華軟こうを塗って、かさぶたを取ってから抗真菌外用剤、ないしステロイド外用剤の軟こうを使用します。ふけが多い場合には、尿素ローションを併用すると比較的効果的です。
そのほか、かゆみに対しては抗ヒスタミン剤を内服したり、予防的効果を期待してビタミンB2(フラビタン)、ビタミンB6(ピロミジン)を内服します。同時に、体質改善を進めていくために、コウレンゲドクトウなどの漢方薬の内服を併用する場合もあります。
乳児の場合は、亜鉛華軟こうを用いてかさぶたを取り除くだけで多くの場合症状が改善しますので、ステロイド外用剤は必要ありません。これだけで改善しない場合は、母乳栄養児であれば母親が十分ビタミン摂取をすることが必要です。これでも改善しない場合は、人口栄養に切り替える必要があります。いずれにせよ、根気が必要な疾患ですのでじっくり治療することが大切です。
直射日光に当たると、疾患が悪化することもあります。疲労の蓄積もよくありません。入浴の際、軽くせっけんなどを使用するのはかまいませんが、入浴後すぐに薬を塗っておきます。せっけん、シャンプー、リンスは低刺激性の物を使うのがよく、市販されている抗真菌剤の配合されたシャンプー(持田製薬 コラージュフルフル)を使うのもよいでしょう。
また、食生活を改善します。脂漏性皮膚炎は刺激性の食物、例えばトウガラシ、カラシ、わさびなどを好む人に多く、こういった食物が皮脂の過酸化を促進させ、結果的に皮疹を悪化させるといわれています。また、皮膚の代謝に関与するビタミンB2、ビタミンB6の欠乏によっても、同様の結果になります。つまり、刺激性の食物を避けて、ビタミンB群を含む食物を十分に摂取します。
ビタミンB群を多く含む食物は、強化米、焼きのり、牛レバー、にわとりレバー、干ししいたけ、脱脂乳、干しわかめ、うずらの卵、魚肉ソーセージ、小麦胚芽など。逆に、アルコールやタバコを多く摂取すると、ビタミンB2を消耗してしまいますので、ほどほどにします。
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