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骨系統疾患

骨、軟骨など骨格形成に関与する組織の障害により、骨格の異常を来す疾患の総称

骨(こつ)系統疾患とは、骨、軟骨、靭帯(じんたい)など骨格形成に関与する組織の成長、発達、分化の障害により、骨格の形成、維持に異常を来す疾患の総称。

軟骨無形成症、骨形成不全症、骨軟骨異形成症、点状軟骨異形成症、先天性脊椎(せきつい)骨端異形成症、多発性骨端異形成症、骨の先天奇形である異骨症、大理石病などいろいろな疾患が骨系統疾患に含まれます。

遺伝する疾患も多く、最近では、原因となる遺伝子が見付かったものもありますが、まだ原因のわからない疾患もたくさんあります。

2010年の骨系統疾患国際命名法会議で改訂された国際分類では、456疾患が記載されています。国際分類に記載される疾患は、疾患単位として確立されているものだけなので、実際の疾患数は1000近いと考えられます。

個々の疾患の頻度は低いものの、骨系統疾患全体としての一般集団における頻度はかなり高く、1000人に1人以上いるのではないかと考えられています。

症状は疾患によってさまざまですが、低身長、骨格や関節の変形、関節の機能不全や神経の障害による運動機能異常、骨折のしやすさなど。

特に低身長は最も多く、小児科や整形外科を受診する切っ掛けになる症状です。低身長は、四肢と体幹の比から四肢短縮型、体幹短縮型、均衡型の3つのタイプに分類されています。

疾患によっては、皮膚、爪(つめ)、毛髪、神経、眼、歯などの合併症を伴うことが多くなっています。

骨系統疾患の代表である軟骨無形成症は、遺伝子の突然変異によって起こる先天性の骨の疾患で、国から難病に認定されています。

手足が短いために背が大きくならない四肢短縮型小人症の一つに数えられ、その中で最も頻度が高く、発症者は1万人から2万5000人に1人といわれています。

代表的症状としては、軟骨の形成が不十分なために、外見的に低身長であることが挙げられます。手や足の長い管状の骨である長管骨において、その成長軟骨の発達が悪いために、成人男子の平均身長が130cm、女性で124cmにしかなりません。

外見的には、頭囲が大きく鼻の部分が低いという共通の特徴があります。また、背骨の湾曲が大きく、尻(しり)の部分が出るというような姿勢になります。指も短く、手の指を伸展すると中指と薬指、または中指と人差し指との間に透き間ができる三尖手(さんせんしゅ)も生じます。

そのほか、腰痛や関節痛などの障害、睡眠時無呼吸や中耳炎などを含む呼吸器関連の合併症、水頭症を始めとする脳神経に関する合併症、腰椎の狭窄(きょうさく)による歩行困難や排泄(はいせつ)障害なども起こります。

新生児、乳幼児においては、筋力が弱い場合が多いために健常者に比べて約半年から1年、首の座りや歩行などの遅れが生じています。小さいうちは関節が軟らかく筋力が弱いため、全体的にグニャグニャした感じでしっかり座ることができません。

この軟骨無形成症によって、直接に知能的な問題が生じるということはありません。ただし、合併症の中耳炎により耳の聞こえが悪くなって、言語能力が遅れる場合があります。鼻の周辺やあごの部分が狭いために睡眠時無呼吸症になりやすく、注意力が散漫になったり、知的な遅れが生じる場合もあります。

青年期以降には、ほとんどに関節痛や腰痛が生じ、時には腰椎の手術が必要となることがあります。あごの骨の発達が悪く、歯並びに影響する場合もあります。

原因は長い間不明とされていましたが、近年、第4染色体に存在する線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)という軟骨を形成する遺伝子の異常であることがわかりました。FGFR3は成長軟骨細胞の細胞膜にあり、主に骨が縦に伸びようとする作用を抑制することから、四肢短縮のアンバランスな体形になります。

遺伝様式は常染色体優性遺伝で、この軟骨無形成症を持つ人とそれ以外の人との間では2分の1の確率で、この軟骨無形成症を持つ人同士の場合は4分の3の確率で、子供に遺伝すると見なされています。しかし、約80パーセント以上は健常な両親から生まれており、FGFR3の突然変異が原因となっています。

骨系統疾患の個々の疾患の頻度は低いものですので、整形外科などの専門医にかかり、適切な診断と治療を受ける必要があります。

骨系統疾患の検査と診断と治療

骨系統疾患の大部分は、目下のところ、有効な診断法と治療法がない難病です。疾患そのものを治してしまう治療法はありませんが、いくつかの疾患では対症療法といって症状を和らげる治療法が実用化されてきています。また、骨や関節以外の症状を示すこともあるので、合併症などに対して管理を行います。

骨系統疾患の代表である軟骨無形成症の場合、整形外科の医師による診断は、特徴的な身体所見やレントゲン検査でほとんど確定できます。胎児の段階で見付かることも、まれではありません。胎児が確定診断をするのに小さすぎたり、非典型的な場合には、FGFR3遺伝子を調べることで確認できます。

疾患の原因は明らかになってきましたが、原因となるFGFR3遺伝子を対象とした根本的な治療は、まだ行われる段階には至っておりません。現在行われている治療は、それぞれの年齢段階に応じた問題に対処するための、対症的なものが主流となっています。

低身長に対する治療の方法としては、下肢の骨延長術や成長ホルモン治療などの方法があります。

骨延長術は、手術で骨切りをして骨折状態を作った上で創外固定器で連結し、骨を作ろうとする自然治癒力を利用して骨を伸ばしていく方法です。成長ホルモン治療は、成長ホルモンを毎日、数年間、自宅で注射する方法です。

一方、重篤な合併症が生じていない場合には、この疾患を受容し、生活の質の向上(QOL)を考えていこうという立場の医師もいます。

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