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好酸球性食道炎
食道壁の粘膜に血液中の好酸球が浸潤して慢性炎症を引き起こし、食道の機能が障害される疾患
好酸球性食道炎とは、血液中の好酸球の食道壁への浸潤を特徴とする炎症性消化管疾患。好酸球は、免疫にかかわる白血球の一種で、アレルギーや寄生虫感染の時に重要な働きをする細胞です。
詳しい原因は不明ですが、飲食物を含む何らかの物質が直接、間接の引き金になってアレルギー反応が起こり、血液中の好酸球が大量に産生される結果、食道壁の粘膜に多数浸潤して慢性炎症が引き起こされ、これが原因となって食道の正常な機能が障害されます。
胸痛、胸焼け、食物を飲み込みにくくなる嚥下(えんげ)障害、食物のつかえ感、腹痛などが主な症状です。進行すると、食道粘膜の下層にむくみや繊維化が起こり、食道の狭窄(きょうさく)によって食べ物の通過障害を起こすことがあります。
また、好酸球性食道炎の発症者は、喘息(ぜんそく)やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の病歴を高い頻度で有しています。
欧米を中心にここ20年くらいで知られるようになった疾患であり、日本では比較的まれですが、近年は男性を中心として患者数が増加しています。発症者の平均年齢は49歳。
好酸球性食道炎の検査と診断と治療
内科、気管食道科の医師による診断では、食道粘膜の組織を採取して調べる生検を行って、好酸球の浸潤の存在を認めれば、それでほぼ確定します。
また、問診による喘息などのアレルギー疾患の病歴、血液検査による末梢(まっしょう)血液中の好酸球の増加、内視鏡検査による食道の壁の肥厚、縦方向のしまや白い斑点(はんてん)、環状狭窄の存在なども確認します。
鑑別する疾患としては、胸焼けや食物のつかえ感などで類似した症状を示す逆流性食道炎が重要です。逆流性食道炎は、胃液、十二指腸液の食道への逆流によって、食道の内面を覆う粘膜に炎症が起こる疾患です。
内科、気管食道科の医師による治療では、アレルギー反応を起こす原因と考えられる抗原の除去が基本となります。食事療法として、抗原と疑われる食品を検査して特定し、その食品を除いた食事を用いる方法、検査は行わず一般的に抗原となりやすい牛乳、卵、肉、魚などの食品を除いた食事を用いる方法、アミノ酸成分栄養食を用いる方法の3種類があります。
薬物療法として、好酸球による炎症を抑えることを目的に、ステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)の吸入剤が主に用いられます。吸入剤は局所的に作用するため副作用が少なく、気管に吸い込まず、いったん口の中にため、唾液(だえき)と一緒に飲み込みます。重症の人には、ステロイド剤の内服剤を用いることもあります。
また、食道の運動機能が低下して胃酸の逆流症状を併発する場合、酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)を補助的に使用することもあります。
食事療法、薬物療法で症状が改善しない場合や、食べ物のつかえや嚥下障害が強い場合は、狭くなった食道を広げる外科手術を行うこともあります。
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