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血栓性外痔核

血栓が肛門の周囲にたまって、はれてくる疾患

血栓性外痔核(がいじかく)とは、血栓が肛門(こうもん)周囲にたまって、はれてくる疾患。

外痔核は、直腸と肛門を隔てる歯状線(しじょうせん)よりも外側にできた痔核です。痔核は、肛門周囲の静脈が膨らんで、こぶになったものです。歯状線よりも外側にできたこぶである外痔核は、歯状線よりも内側にできた痔核である内痔核の肛門外への脱出に伴って、大きくなってくるのが普通です。

外痔核は、排便時の強い息みで突然、出現します。外痔核の周囲には、多数の神経が集まっているので、激しく痛みます。排便時だけでなく通常時でも激しい痛みを伴うことが多いものの、出血を伴うことはあまりありません。

この外痔核がある時に、下痢のために頻繁に排便したり、便秘のために力んで便を出したりすると、静脈叢(そう)のうっ血が急にひどくなり、よどんでいる血液の中に血液の固まりである血栓ができ、強い痛みを伴った青黒いはれ物となります。一種の血豆のようなもので、これが血栓性外痔核です。

血栓性外痔核は、2~3日で痛みのピークとなります。しかし、血栓性外痔核が小さなうちは、軟こうや座薬などを使用するだけで、血栓はすぐに溶けてきます。溶け始めると、完全に詰まっていた血管が流れ出します。そうすると、はれもひいてきて、痛みも次第に少なくなってきます。はれがひくのに1カ月くらいかかりますが、完全に治ります。

しかしながら、肛門に負担をかけるようなことをしているとまた、何度でも血栓性外痔核になります。どこに血栓ができるかによってはれる場所が決まりますので、いつも同じところがはれるとは限らず、はれる場所はその時々によって違います。

この血栓性外痔核は、肛門に一時的に急激に負担がかかった時にできます。多い原因としては、便秘、下痢のほか、冷え、飲酒が挙げられます

血栓性外痔核が大きくなってしまうと、痔核を保護している皮膚が圧迫されて潰瘍(かいよう)ができ、出血を起こしますし、血栓が吸収されても皮膚の盛り上がりは残って、皮垂(ひすい)というこぶのような高まりが肛門の入り口にできます。

1カ月以上たってもはれがひかない、あるいはどんどんはれてくるようであれば、すぐに肛門科を受診して下さい。

どんなに不快な症状があっても医療機関へ行かず、自己療法で我慢している人が少なくありません。「恥ずかしいから」、「命にかかわる疾患ではないから」、「手術はしたくないから」などの理由で受診が遅れるのが一般的ですが、痔の種類にもよるといえど、ほとんどの痔は早く治療を始めれば、手術しないで治すことができます。排便時の痛みや出血といった気になる症状があれば、自己判断せずに、受診するのがよいでしょう。

血栓性外痔核の検査と診断と治療

肛門科の医師による治療は、保存的治療と血栓切除に分けられます。

小さくて痛みが強くない場合には、ほとんど軟こうによる保存的治療で改善してきます。血栓が大きくて痛みが強い場合、軟こうを3~4週間使っても治らない場合、何回も同じところがはれる場合、表面が破れて多量の出血が起こっている場合には、痛みを除き皮膚の変形を防止するためにも、痔核の部分を舟型に切開し、血栓を摘出(てきしゅつ)する結紮(けっさつ)切除法という簡単な処置を行います。この血栓切除は、外来で3分くらいでできます。

血栓を切除すれば、すぐに痛みが消失します。切除後1週間くらいは無理せず、運動や旅行などを控える必要があります。血栓を切除した後は1~2週間ほど、傷口から少しずつ出血が続くことがありますが、血栓が吸収されてなくなれば、自然にしぼんで消えてなくなります。

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