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櫛状胃炎

胃の粘膜の表面だけに炎症が起こっている疾患

櫛状(くしじょう)胃炎とは、胃の粘膜の表面に慢性の炎症が起こっている疾患。表層性胃炎とも呼ばれます。

慢性胃炎の初期症状ともいえる状態で、胃腺(せん)の委縮はあまり目立たず、胃の出口近くの粘膜の表面に、櫛で引っかいたような線状の発赤や、斑状(まだらじょう)の発赤、むくみなどの症状がみられるのが特徴です。

飲酒やたばこ、香辛料の摂取、熱い飲食物の刺激、薬物による刺激が原因になるほか、感染したピロリ菌に対して、人体の免疫が反応している状態であるために炎症が起こっているのが原因の場合もあります。また、櫛状胃炎は不安やストレスなどの精神的な状態との関連もあるようです。

胃の粘膜の表面のみの炎症ですから、それほど症状は強くなく、自然と改善していく場合もあります。しかし、そのまま進行して長期化してくると、胃粘膜は次第に委縮し、胃液(胃酸)や粘液を分泌しない状態になり、委縮性胃炎になってしまう恐れがあります。

櫛状胃炎はどちらかといえば若い人に多く、胃に不快感があり、胃もたれを起こしたり、食後に腹痛を起こすことがあります。場合によっては、胃潰瘍(かいよう)と同様に空腹になると胃に痛みを感じたり、重苦しさが起こってくることがあります。食事をすると軽減されますが、げっぷや胸焼けなどを伴うこともあります。

胃の炎症症状の強い時には、食欲不振に陥ることもありますし、吐き気を覚えることもあります。このような症状は、1〜2年に及ぶこともあります。

櫛状胃炎の検査と診断と治療

消化器科、内科の医師による診断では、胃内視鏡検査を行うと、胃の出口近くの粘膜に多数の発赤や、むくみが観察されます。正確な診断には、組織の一部を採取して調べる生検による病理学的検索が必要です。組織を調べると、原因となるピロリ菌がいるかどうかを診断することもできます。

消化器科、内科の医師による治療では、症状がみられるようであれば、胃液の分泌を抑える制酸剤や抗コリン剤(自律神経遮断薬)を使用します。食後に胃のもたれが起こるようであれば、消化剤を使用することも有効で、症状に合わせて、傷みを和らげる鎮痛剤も使用します。

薬の効果によって一時的に回復しますが、炎症が治まっていなければ、薬の服用をやめれば再発することも考えられます。薬の服用が必要だと判断された場合では、医師の指示を守り正しく服用することが必要です。

日常生活では、できるだけ胃に負担をかけない食生活を心掛けることが大切です。1日3食を規則正しく摂取するようにして、脂っこいものなど消化の悪いものや、酒や香辛料など刺激の強いものは控えめにします。

可能ならば禁煙し、ストレスを改善する方法も見付けましょう。

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