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牛眼

先天的な眼内液出口の形成異常で生じ、黒目が大きくなる眼疾

牛眼(ぎゅうがん)とは、眼内液の出口に生まれ付きの形成異常があることが原因で、眼圧が上昇して眼球が引き伸ばされ、黒目の部分が大きくなる眼疾。先天的緑内障とも呼ばれます。

1万〜1万2500人に1人程度の割合でみられ、やや男子に多く、ほとんどは1〜2歳に発見されます。

眼球には、角膜や強膜でできた壁の内側に、房水という眼内液が入っていて、その壁の弾力と房水の充満状態によって、一定の硬さを保っています。この硬さが眼圧であり、正常眼圧は平均15ミリHgと外気圧より高いことで、眼球の形を保っています。眼内を満たす房水は主に毛様体で作られて後房に分泌され、前房へ流れて水晶体や角膜に酸素や栄養を与え、前房隅角より出て静脈に戻ります。

ほとんどの緑内障は、前房隅角に問題があり、房水が流出しにくくなって眼圧が上昇します。先天的緑内障である牛眼も、前房隅角に生まれ付きの形成異常があるために、前房水を静脈へ流出する機能が悪くなり、眼圧が上昇します。乳児期の目の組織は軟らかいため、眼圧に耐えられずに眼球が引き伸ばされ、特に角膜が大きくなって黒目の部分が大きくなります。ちょうど牛の目のようになるので、牛眼と名付けられています。

新生児で角膜が10.5〜11ミリ以上、6カ月で11.5ミリ以上、1歳で12〜12.5ミリ以上ある場合は、この牛眼が疑われます。

症状としては、黒目が大きく、やや前方に突き出し、時に黒目が白く濁っていることもあります。光が当たっていない場所でも、まぶしがってまばたきが増えたり、涙を流したり、まぶたがけいれんしたりすることもあります。

多くは両目に起こりますが、その程度は左右で違うことが多くみられます。片目にだけ発症した場合は、もう一方の正常な目との比較で、早期に発見されやすいとされています。白目も引き伸ばされて薄くなり、青色を帯びていることもあります。

ちょっとした打撲で眼球が破裂しやすいために、失明することもあります。また、全体に眼球が大きくなるため、多くは近視があります。

3歳を超えると眼球が発達し、ある程度の眼圧に耐えられるようになるため、角膜が拡大することはなくなります。従って、視力低下で見付けることが多く、発見が遅れ予後不良となりやすい傾向があります。放置すれば、視神経の圧迫により失明します。

牛眼の検査と診断と治療

新生児で目付きがおかしい、光を嫌がる、涙が多い、まばたきが多いなどの症状がみられたら、すぐに眼科を受診し、適切な治療を受けます。

医師は、眼圧検査、隅角検査、視神経乳頭陥凹(かんおう)検査、角膜径検査などを行い、診断します。乳幼児の検査では催眠が必要です。

診断が確定すれば、薬物療法のみで眼圧のコントロールができるものは極めて少ないため、原則として手術療法が行われます。手術方法は隅角切開術が代表的で、通常、全身麻酔をして、房水の流出が悪くなっている隅角を切り開いて、房水の流出の改善を図ります。これでも眼圧が下がらない場合は、ほかの手術方法も行われます。 

しかし、まだ視機能が十分に育っていない乳幼児に視力の問題があると、手術が成功して眼圧が正常に戻っても、視力がよくならいこともありますので、弱視の治療や予防も大切になります。

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