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骨髄異形成症候群(MDS)

骨髄にある造血幹細胞に異常が起こり、貧血などの症状が現れる疾患

骨髄異形成症候群(MDS:myelodysplastic syndrome)とは、骨髄にある血液細胞の源に当たる造血幹細胞に異常が起こって、細胞の増殖、成熟がうまく進まず、途中で次々と死んでいくために、赤血球減少による貧血や、白血球減少、血小板減少などの症状が現れる疾患。

一般に成人から高齢者に多くみられますが、近年では男性の高齢者に増えています。日本全国の患者数は9000人と推定され、特に70歳代がピークになっています。

経過が長く急性白血病に変わっていくものがあるため、難治性で予後が悪いのが特徴です。いろいろな治療が無効なため、不応性貧血とも呼ばれており、日本では難病指定を受けています。

発症すると、息切れや動悸(どうき)、全身倦怠(けんたい)感といった貧血の症状が出てきますが、症状がゆっくりと進行するために、貧血を自覚することがあまりありません。

多くの場合、検診などで貧血と診断されたり、白血球減少による肺炎などの感染症や、血小板減少による抜歯後の止血困難などの出血症状を切っ掛けに、骨髄異形成症候群であることが判明します。

骨髄では異形成の名の通り、正常にみられない形をした細胞が認められたり、白血病細胞が少数ながらも認められることもあります。また、白血病細胞の比率が次第に増加して、急性白血病に移行していくものもあります。白血病細胞の比率と形の異常で、1)不応性貧血、2)環状鉄芽球を有する不応性貧血、3)5~20パーセントに白血病細胞のある不応性貧血、4)慢性骨髄単球性白血病、5)極めて白血病に近い不応性貧血の5型に分けられています。

骨髄異形成症候群の治療法としては、発症者の年齢が若くて、HLA(ヒト白血球抗原)が一致する骨髄提供者があれば、骨髄移植が行われます。骨髄移植は治癒の可能性が最も高い治療法の一つですが、肉体的に負担が掛かるため高齢者には実施できません。

最近では、免疫抑制療法も効果があることがわかっており、抗リンパ球グロブリン(ATG)の内服で60パーセント、シクロスポリン(CSA)の内服で80パーセントの発症者が改善するようになってきました。

ほかに行われる治療法としては、エリスロポエチン、顆粒(かりゅう)球増加因子を用いるサイトカイン療法、蛋白(たんぱく)同化ホルモンによる造血刺激療法、ビタミンDやビタミンKによる分化誘導療法、化学療法などが行われています。これらの治療法に伴って、輸血や抗生物質、血小板輸血などの対症療法も多く行われています。

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