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グルタミン酸

体内で合成できる非必須アミノ酸の一つで、うま味と神経伝達物質の元

グルタミン酸とは、体内で合成できる非必須(ひっす)アミノ酸の一つ。人間の体内では、クエン酸回路の中でケトグルタル酸から合成され、オルニチンやアルギニン、プロリンなどのアミノ酸に変わることができます。

このグルタミン酸は脳組織に多量に存在して、主に興奮系の神経伝達物質として利用され、脳活性のエネルギー源となっています。グルタミン酸を摂取することで、脳の働きが活発になるため、認知症の防止に効果があるといわれています。

また、グルタミン酸は酵素の働きによってアンモニアと結合して、同じ非必須アミノ酸のグルタミンを合成するため、体に有害なアンモニアの除去にも一役買っています。グルタミン酸自体にも排尿促進作用があるため、血液中のアンモニア濃度を調節する効果があります。

よく知られていることですが、うま味調味料の主成分であるグルタミン酸ナトリウムの原料として、グルタミン酸は広く利用されています。食品添加物としてのグルタミン酸は、グルタミン、グルタミン酸、グルタミン酸ナトリウムを「グルタミン酸ソーダ」と一まとめにして表記されることがほとんどです。

グルタミン酸の過剰摂取は、脳細胞を傷付けて睡眠障害や神経症、幻覚などのさまざまな異変を引き起こします。うま味調味料であるグルタミン酸ナトリウムを大量に使った料理を食べた後は、強い舌のしびれや頭痛を引き起こすこともあります。

グルタミン酸ナトリウムを過剰摂取したラットには、目に障害が現れやすくなるという実験結果があり、過剰摂取は眼病の原因になる恐れがあります。

逆にグルタミン酸の摂取が不足すると、不足分を筋肉を育成するグルタミンから補うことになるため、筋力の低下などを招きます。同時に、疲労の蓄積や脳の働きの低下、脳障害、うつ状態、アンモニアの排出阻害などの影響が現れることもあります。

日本人の食生活では、グルタミン酸を過剰摂取する傾向にありますが、少なすぎても健康によくないという厄介な性質があるアミノ酸なのです。

グルタミン酸は昆布の出汁から発見された経緯があり、昆布などの海草や、大豆などの豆類、アーモンドなどのナッツ類、小麦粉、サトウキビに多く含まれています。玉露などのお茶にも、うま味成分としてグルタミン酸が含まれています。

また、納豆独特のネバネバは、複数のグルタミン酸が結合してできるポリグルタミン酸と呼ばれるもので、納豆のおいしさの土台となっており、かき混ぜるほどに粘りが強くなり、うま味が増すという特性を持っています。

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