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キャベツ
キャベツとは、アブラナ科アブラナ属の多年草で、地中海や大西洋に面したヨーロッパが原産。野菜として広く利用され、栽培上は1年草として扱われます。
日本へは江戸末期にもたらされ、明治になって本格的に栽培されるようになりました。当初は甘藍(かんらん)、玉菜(たまな)とも呼ばれ、観賞用としても栽培されました。その改良種は、葉牡丹(はぼたん)となり現在につながります。
キャベツの消費量が急速に増大するのは第2次世界大戦後で、昭和30年代になると食生活の洋風化に伴い爆発的に増えました。現在では、作付面積、生産量ともにダイコンに次いで第2位となっています。
キャベツには、ほかの野菜にはない特異的な成分としてビタミンUが含まれています。このビタミンUは、キャベツの青汁が胃潰瘍(かいよう)患者の治療に効を奏したことから、1940年に発見されキャベジンと呼ばれました。胃の粘膜のただれを治して、抵抗力を強める作用があります。また、肝臓の代謝機能と解毒作用を助けるので、病気に対する自然治癒力が高まります。この薬理効果を求める場合には、熱を加えずに生ジュースを作って飲むのが効果的。リンゴなどと合わせると飲みやすくなります。
キャベツには、特異的な成分としてビタミンKも含まれています。このビタミンKには、出血した時に血を固める血液凝固作用があり、胃潰瘍や十二指腸潰瘍で出血した傷口が早くふさがることになります。骨にカルシウムが沈着するのを助ける働きもあり、骨粗鬆(こつそしょう)症の予防にも効果があります。加えて、新生児の脳内出血を防ぐ作用も認められており、妊婦や授乳期の母親に十分に摂取してほしい栄養素です。
キャベツは癖がなく、調理のバラエティーにも富んでいるので、食物繊維の摂取にも好適。有機酸や酵素類も多く含まれており、老廃物の分解が促されて一層血液の浄化に役立ちます。ビタミンCの含有量が100g中41mgと淡色野菜ではトップクラスであるものの、ビタミンCもビタミンUと同じく水に溶けやすく、熱にも弱いので、千切りや炒(いた)め物にする時は手際よくしたいものです。
キャベツの仲間はいずれもビタミン、ミネラルを豊富に含むばかりでなく、蛋白(たんぱく)質、糖質(デンプン、食物繊維)にも恵まれており、スタミナ増強、貧血の改善、風邪の予防、便秘の解消、美肌効果などのメリットを持ちます。
野菜を摂取する量とがんの関係を調べることは世界各地で行われていて、いずれも野菜が多いほど結腸がん、直腸がんになる確率が低いとの結論を得ています。野菜の中でも、抗がん効果が顕著なことで注目を集めるのは、キャベツ、ダイコン、コマツナ、クレソンなどアブラナ科の野菜です。
春に出回る新キャベツは春玉キャベツで、緑色が浅く葉肉が薄くなっています。水分が多く葉が軟らかいので、千切りにして生で食べるのに適しています。一方、秋から春先にかけて出回る寒玉キャベツは、肉厚で甘みも強いので煮込み料理に適しています。
このほか、近年は丸玉キャベツという品種に人気があります。一般にはグリーンボールとして知られていますが、やや小型で丸く緑色が濃くなっています。キャベツの仲間としてはほかに、紫キャベツ、芽キャベツもよく料理に使われます。キャベツの原種に近いとされるケールは、青汁の原料になっています。
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