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強皮症(全身性硬化症)

皮膚が硬くなるのを特徴とする膠原病の一つ

強皮症とは、皮膚や内臓が硬くなるのを特徴とする膠原病の一つ。別名を全身性硬化症といいます。

30~50歳代の女性に多くみられ、男女比は1:9、日本での発症者は推定で6000人。自己抗体の産生など原因は複雑であり、はっきりとはわかっていません。

最初にみられる症状は、冷水などに触れると手指が真っ白から青紫色になるレイノー現象で、その後、徐々に進行していきます。手指がこわばって、はれぼったくなり、皮膚が硬くなってきて、皮膚の色も黒くなります。中には、皮膚硬化がゆっくりとしか進行しないケースも多く、疾患に気が付かなかったり、医療機関を受診しても診断されなかったりすることもしばしばあります。

さらに進行した場合は、指が曲がったまま伸ばせなくなります。そのため、物をつかむことができにくくなります。指先に潰瘍(かいよう)ができたり、つめが変形することもあります。次第に、皮膚の硬化が全身に広がることもあります。

顔面の皮膚が硬くなると、表情が乏しくなる仮面様顔貌となり、口が開けにくくなったり、口の周囲に放射状のしわができます。

食道に硬化が及ぶと、胃酸が食道に逆流して胸焼けや、つかえる感じがします。腸に病変が起こると、下痢や便秘のほか、栄養を吸収しにくくなり、やせます。肺に病変が起こると、せき、息切れを引き起こします。腎(じん)臓に病変が起こると、血管の障害によって高血圧が生じる強皮症腎クリーゼを引き起こし、急激な血圧上昇とともに、頭痛、吐き気が生じます。腎不全を引き起こすこともあります。

強皮症の検査と診断と治療

強皮症では、発症5~6年以内に皮膚硬化の進行と内臓病変が出現してきます。発症5~6年を過ぎると、皮膚は徐々に軟らかくなってきて、皮膚硬化は自然によくなります。しかし、内臓病変は元には戻りませんので、できるだけ早期に治療を開始して、内臓病変の合併や進行をできるだけ抑えることが極めて重要となります。

医師による検査では、皮膚硬化のはっきりしない発症間もないケースや、症状の軽いケースでは、皮膚硬化の有無を確認するための皮膚生検が重要となります。この検査は皮膚の一部を切り取って、顕微鏡を用いて判断するもの。局所麻酔をかけて行われるので、痛みはほとんどありません。皮膚硬化がはっきりしているケースでも、どの程度皮膚硬化が進行しているかを判断する上で、皮膚生検は不可欠です。

一般血液検査の中で、最も重要な検査は抗核抗体の検査です。強皮症の発症者では90パーセント以上で抗核抗体が陽性となりますので、診断するためには非常に有用です。内臓の変化を調べるさまざまな検査も、強皮症と診断するために不可欠です。

強皮症自体を根本から治療する方法は、まだ解明されていません。レイノー現象を始め、症状に応じた治療が行われます。ある程度の効果を期待できる治療法としては、皮膚硬化に対してステロイド剤、肺の病変に対してシクロホスファミドないしエンドセリン受容体拮抗剤、食道の病変に対してプロトンポンプ阻害剤、血管の病変に対してプロスタサイクリン、強皮症腎クリーゼに対してACE阻害剤などの薬剤の使用が挙げられます。肺や腎臓に病変が起こった場合は、入院治療が必要です。

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