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A群溶血性連鎖球菌感染症(猩紅熱)

のどの痛み、熱、発疹の現れる伝染病

A群溶血性連鎖球菌感染症とは、小児に多い発疹(ほっしん)性伝染病。猩紅(しょうこう)熱とも呼ばれます。

A群β溶血性連鎖球菌(A群溶血性連鎖球菌、A群溶連菌)という細菌の感染によって発症する疾患の一つで、昔は死亡することもあるとして恐れられ、明治時代に法定伝染病に指定されました。現在では抗生物質を正しく使用し、合併症を予防すれば完治が可能となったことから、1999年に施行された感染症新法により、法定伝染病ではなくなりました。

A群β溶血性連鎖球菌は溶連菌と通称され、のどに炎症を起こす咽頭(いんとう)炎を引き起こす細菌ですが、A群溶血性連鎖球菌感染症では咽頭炎だけでなく、全身に発疹も現れます。2歳~12歳までの子供に多く、幼稚園や小学校では秋から春にかけて集団発生することもあります。

溶連菌は、すでに感染している人の近くにいたり、感染者の咳(せき)から出た空気中の細菌を吸い込んだりすることで感染します。潜伏期間は1日~7日とされ、38〜39℃の突然の発熱で始まり、のどが痛みを伴って真っ赤にはれます。そのほかの症状としては、吐き気、頭痛、腹痛、筋肉痛、関節痛、中耳炎、首のリンパ節のはれなどがあります。この段階では、風邪との区別がつきません。

発熱から半日~2日後になってから、直径1ミリぐらいの赤くてやや盛り上がった発疹が、かゆみを伴って現れます。発疹は首、胸、わきの下などに現れ、少しずつ増えて全身が赤く見えるようになります。口の回りには発疹は出ないのが、一つの特徴です。3日~4日後には、舌がイチゴのように赤くプツプツするようになります。これをイチゴ舌と呼びます。

 症状が消えた後、2週間ほどで指先の皮がむけることがあります。3週間ほどで軽快し、跡は残りません。

注意の必要な合併症には、急性腎炎(じんえん)、リウマチ熱などがあります。治療を行わなかった場合、これらの合併症は感染者の2~3パーセントに現れます。顔のむくみ、赤い尿、動悸(どうき)、息切れ、関節痛などの症状が現れた場合も、注意が必要です。

高熱や発疹のある場合はもちろん、のどのはれが2日以上治まらない時は、早めに小児科、循環器科、泌尿器科を受診しましょう。なお、高熱や発疹などの特徴的な症状が現れるのは4歳以上の場合が多く、乳児の場合は軽症で、単なるのど風邪症状のみであることがあります。

特に3歳未満の小児に、発熱に伴って発疹やイチゴ舌が現れた場合、川崎病との区別が必要とされます。

A群溶血性連鎖球菌感染症(猩紅熱)の検査と診断と治療

小児科、循環器科、泌尿器科の医師によるA群溶血性連鎖球菌感染症の診断では、多くの場合、臨床症状で判断を下すことが可能です。最近は、のどの抗原の迅速検査が、外来診断の主流となっています。確実に診断するには、のどや鼻の粘膜から綿棒で採取した検体の培養検査、血液による抗体の検査が必要となります。

小児科、循環器科、泌尿器科の医師によるA群溶血性連鎖球菌感染症の治療では、溶連菌に有効なペニシリン系の抗生物質を内服で用いるのが一般的です。数日で薬の効果が現れて、熱が下がり、発疹も目立たなくなります。皮膚は乾いて、皮がむけます。

しかし、症状が改善されても、溶連菌はのどに残っていることがあるので、再発や他人に感染させる可能性があります。急性腎炎やリウマチ熱などの合併症を予防するためにも、2週間程度は確実に抗生物質の服用を続けることが大切となります。皮膚のかゆみに対しては、抗ヒスタミン薬の内服、または軟膏(なんこう)を使用します。

症状が改善した後も、2週間~3週間後に尿の中に血液が混じっていないかを検査し、完全に治ったかどうかは、抗生物質の服用をやめてから、のどの粘膜の培養検査をして確かめる必要があります。繰り返しA群溶血性連鎖球菌感染症に感染する可能性もありますので、侮れません。家族内で感染する例も30〜50パーセントあることにも、注意が必要です。

 薬を飲んでいる間は、安静を保ち、うがいと手洗いをしっかりと行い、なるべく刺激の少ない食事を取るように心掛けます。のどの痛みが強ければ、無理に食べなくてもかまいません。

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