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胃幽門狭窄症

胃の出口の幽門が狭くなり、胃の内容物が停滞

 胃幽門狭窄(いゆうもんきょうさく)症とは、胃と十二指腸の境界部にある幽門が狭くなっている状態。幽門狭窄症とも呼ばれます。

幽門の狭窄があると、胃液と混ざった食べ物は十二指腸への移行ができないか、通りが悪くなって、胃の中に停滞しやすくなります。

軽いものでは、あまり症状が出ません。ひどくなると、胃部不快感、膨満感、胸焼け、げっぷ、しゃっくりなどが食後に生じます。狭窄が強いと、嘔吐(おうと)が起こり、食欲も減退します。嘔吐物には、強い酸臭、腐敗臭を伴います。このような状態が続くと、栄養状態が低下し、皮膚が乾燥してきます。水を飲んでも吐くようになれば、尿量も減ってきます。

原因としては、胃と十二指腸の器質的疾患、外部臓器の圧迫と癒着、胃運動機能の異常に分けられます。

胃と十二指腸の器質的疾患で頻度が最も多いのは、十二指腸潰瘍(かいよう)。潰瘍が治ってくる際に、十二指腸の変形で狭窄が起こってきます。幽門部に生じた胃潰瘍、がん、まれにポリープ、筋腫(きんしゅ)なども原因となります。また、先天的に幽門輪という部分の筋肉が肥大していて、新生児期に噴水状に嘔吐するものもあります。新生児の2000人に1人の割合でみられ、男の子に多くみられます。

外部臓器からの圧迫と癒着は、胃の周囲臓器である膵臓(すいぞう)、大腸などに大きい腫瘍などができ、胃壁外から圧迫することで幽門狭窄が生じるものです。

胃運動機能の異常は、神経症、ショック、薬物、外傷、過度の飲酒などを原因として、胃自体の運動機能異常や幽門部の機能不全によって、幽門狭窄が生じるものです。

胃幽門狭窄症の検査と診断と治療

できるだけ早く内科、あるいは消化器科の専門医の診察を受け、胃幽門狭窄症の原因を確認して、それに適応する治療を行うのが原則です。新生児の吐き方が激しい場合には、すぐに小児科の専門医に連れてゆきます。

医師の診断では、X線検査で幽門狭窄かどうかは判断できますが、その原因となる疾患を見付けるために、上部消化管内視鏡やガストログラフィンなど低張造影剤による造影検査を行い、病変の評価を行います。幽門の粘膜面に病変がないものの狭窄部が存在する場合には、腹部CT検査なども行います。胃運動機能の異常が原因となるものは、問診することでおおよその予想がつきます。

治療ではまず、嘔吐による脱水や電解質のバランスの乱れを補正するために輸液が行われます。また、安静と流動食などへの変更による食事調整によって、経過をみます。器質的疾患による胃幽門狭窄症は、原疾患の治癒を行って改善を図ります。

胃運動機能の異常による胃幽門狭窄症は、一過性のことが多く、輸液、安静、食事調整で早期に改善します。長引く際には、神経症、アルコールもしくは薬物依存、自律神経系異常などの原因となる疾患を確定し、その治療を行います。

新生児の吐き方が激しい先天性の胃幽門狭窄症で、その程度が著しくて食べ物が摂取できない場合には、輸液で栄養を補給してから、手術をすることが基本的な治療法になります。まず点滴をして体液のバランスを改善し、次に胃の幽門の筋肉に切り込みを入れて狭くなっている部分を広げます。手術は1時間くらいで終わり、入院は1週間から10日くらいすることになります。この疾患による後遺症などの心配は、ありません。

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