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オカルト黄斑ジストロフィー

眼球内部の網膜にある黄斑が障害され、両眼の視力が低下する遺伝性疾患

オカルト黄斑(おうはん)ジストロフィーとは、網膜の中心部の黄斑の機能が徐々に傷害され、両眼の視力が徐々に低下していく遺伝性の疾患。先天性黄斑変性症とも呼ばれる黄斑ジストロフィーの一種です。

オカルトは「目に見えない」という意味で、ジストロフィーは遺伝子の異常により組織や臓器が徐々に変性することを指します。

眼球内部にある黄斑は、光を感じる神経の膜である網膜の中央に位置し、物を見るために最も敏感な部分であるとともに、色を識別する細胞のほとんどが集まっている部分。網膜の中でひときわ黄色く観察されるため、昔から黄斑と呼ばれてきました。

この黄斑に変性がみられると、視力に低下を来します。また、黄斑の中心部には中心窩(か)という部分があり、ここに変性がみられると、視力の低下がさらに深刻になります。

オカルト黄斑ジストロフィーは1989年、名古屋大学の三宅養三教授により発見されました。

眼科の医師による一般診察では、オカルト黄斑ジストロフィーの診断が不可能で、通常の眼底検査では黄斑が全く正常に見えて異常が見付かりません。診断には、限られた施設にのみ備えられている多局所網膜電図という特殊な装置を必要とするため、弱視、視神経症、緑内障、白内障など異なる疾患と誤診され、誤った治療を受ける例が非常に多くみられます。

発症の多くには遺伝が関与しており、2010年に東京医療センター感覚器センターと東京大学医学部神経内科との共同研究チームによって、優性遺伝タイプの原因遺伝子がRP1L1であることが解明されました。しかし、オカルト黄斑ジストロフィーの半数以上は劣性遺伝、もしくは家族の中には全く発症者がみられないのに、突発的に発症者が現れる散発例(孤発例)の可能性があること、RP1L1遺伝子の生理的機能が不明であることなどがあり、疾患原因は完全には解明されていませんし、根本的な治療法はありません。

オカルト黄斑ジストロフィーの発症年齢は、10歳から60歳までとさまざまです。発症者は5000人と推定されてますが、ほとんどの症例は異なる疾患、あるいは原因不明と診断されているため、実数は不明。

黄斑に分布して、主に中心の視力や色覚などに関係している錐体(すいたい)細胞が機能不全を起こすことにより、両眼の視力が徐々に低下していきます。普通の光がまぶしく、目が痛み、涙が出る羞明(しゅうめい)を生じることもあります。

進行性の疾患ですが、その進行速度は緩やかで、個人差もあります。最終的には矯正視力が0・1〜0・2程度となり、特に視力に最も重要な中心窩の機能が傷害されるため、中心視野の欠損を生じ、著しく書字困難、識字困難になるなど社会生活に大きな支障を来します。しかし、一定の年月がたつと進行が止まり、 失明には至りません。黄斑以外の機能は障害されないため、周辺視野は晩期まで保たれます。

オカルト黄斑ジストロフィーの検査と診断と治療

眼科の医師による一般診察では診断が不可能で、多局所網膜電図による電気生理学的検査でのみ異常が検出されるため、限られた眼科施設でのみ診断が可能です。OCT(光学的干渉断層計)を使用した光干渉断層像で中心部網膜が薄くなることが、補助診断となります。

両眼対称性であること、進行性であること、家族にかかった人がいることなどが、重要な手掛かりになります。異常を起こす原因遺伝子が突き止められている優性遺伝タイプのオカルト黄斑ジストロフィーでは、RP1L1遺伝子の検索も決め手になります。

残念ながら、オカルト黄斑ジストロフィーでは疾患原因が不明であり、根本的な治療法は見いだされていませんので、視力の大幅な低下を避けることはできません。羞明に対して、サングラスの装用を勧めるなどの指導を行うことになります。

症状に応じて遮光眼鏡、弱視眼鏡、拡大読書器、望遠鏡などの補助具を使用することが有用で、周辺視野と残った中心視を活用できます。その他のリハビリテーションも重要です。

いつの日か、先端的医療の進歩が根本的な治療法を可能にすることも期待されていますが、弱視学級や盲学校での勉学、職業訓練など、将来を見通して現実的に対応することが有益でしょう。

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