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医師

医師とは、医療および保健指導をつかさどる人で、医師法によって免許、試験、義務などが規定されています。医師の免許は医師国家試験の合格者に与えられ、医師以外の医療行為は禁じられています。

医者。古くは薬師(くすし、くすりし)と呼ばれました。

厚生労働省が2年ごとに実施している医師数調査では、平成20年(2008年)度12月31日における全国の届出医師数は28万6699人(男23万4702人、女5万1997人)で、平成18年(2006年)度調査から8772人、3・2パーセント増加していました。

人口10万人当たりは224・5人で、前回調査から7・0人増加。10年ほど減少していた産婦人科、産科、外科の医師数が増加に転じていました。

また、厚生労働省が毎年実施している「医療施設調査・病院報告」では、平成21年(2009年)度における病院数は、精神科病院と結核療養所を除いて7655施設で、前年比59施設減、平成2年(1990年)比では約15パーセント減でした。

人口10万人に対する病院の医師数を都道府県別で見ると、最多は高知県の218・3人で、最低は平成20年(2008年)に続いて埼玉県の103・5人でした。埼玉県は前年比2・8人増となりましが、最多の高知県とはなお2倍以上の格差があります。

平成21年(2009年)10月現在、小児科を設置している病院は2853施設、産婦人科・産科は1474施設で、ともに平成2年(1990年)以降で最低となりました。

仕事の厳しさや訴訟リスクの高さが指摘される小児科と産婦人科・産科の減少傾向に歯止めが掛かっていない実情が、改めて浮き彫りになりました。

調査結果によると、小児科は前年比52施設が減少、産婦人科・産科も同22施設が減少。平成2年(1990年)と比べた減少率は、小児科が約30パーセント、産婦人科・産科は約40パーセントとなっています。厚労省は、「激務のために敬遠され、地域によっては医師を確保できない病院も出ていることが一因では」とみています。

今回の調査は、医師不足や医師の偏在問題を解消する対策がいまだ不十分で、なかなか効果に結びついていないことをうかがわせる結果となりました。

産婦人科や小児科といった激務の診療科を中心に、医師不足が指摘されるようになって久しく解消されていません。国は医学部定員を増員したほか、診療報酬を手厚くしたり、新人医師の臨床研修制度で都道府県ごとに募集定員の上限を設けたりするなど、ここ数年、具体的な対策を実行してきました。

ただ、診療科や地域による医師の偏在を是正するには、どこにどれだけ医師が不足しているのかを把握し、バランスよく人員を配置する必要がありますが、その方策は実質的にはほとんど手つかずといっていい状況。厚労省にとっては、適切な医師確保策を具体化することが急務です。

そこで、厚生労働省は平成22年(2010年)度に医師不足の全国調査を初めて実施し、全国にある全病院を含め計約1万施設に対して調査。6月1日時点で、実際の勤務医師数や求人中の医師数、求人理由、必要とする医師数などを調べました。

調査では、全国の病院に勤務する医師数は約2万4000人不足していることがわかりました。地方に比べ都市部に医師が集中している地域偏在や、救急科やリハビリ科での不足がより深刻であるなど、診療科ごとの偏りも判明。

病院に勤務している医師数は約16万7000人。診療機能を維持するために病院が求人中の医師数は約1万8000人で、勤務医師数に対して必要医師数の倍率は1・1倍でした。調査時点で求人していなかったが病院が必要とする数を加えれば、必要な医師数は計約2万4000人になり、現在の1・14倍の人数が必要で、医師不足の深刻な実態が改めて浮き彫りになりました。

都道府県別でみると、必要医師数の倍率が高かったのは岩手、青森、山梨、島根などで1・2倍を超えていました。一方、東京や大阪、神奈川、埼玉、福岡は1.1倍以下と低く、都市部と地方で医師不足に差があることがはっきりしました。医師が十分足りている都道府県はありませんでした。

また、診療科による医師の偏りも明らかになりました。病気の後遺症で起きる運動障害などを総合的にみるリハビリ科や、救急科では1・2倍を超えていました。反対に必要数が少なかったのは、美容外科、形成外科、アレルギー科など。

医師を求人しなければならなくなった要因では、転職や開業などで勤務医が退職し、補充のために募集していると答えたケースが最多。次いで、大学病院が地方に医師を派遣する機能が低下したことや、医師の勤務時間を減らすなど勤務環境を改善するためという理由が続きました。

平成16年(2004年)に新卒医師に2年間の臨床研修が必修化され、自由に病院を選ぶことができるようになりました。さまざまな病気の患者を診療できて経験を積める都市部の総合病院が人気を集める一方、大学病院に残る医師が減り、地域の病院に派遣していた医師を引き揚げざるを得なくなりました。このため、各地で医師不足の傾向が顕著になったとされます。

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